出張集合写真の基礎技術

出張集合写真の基礎技術


Step1:最初の挨拶、撮影機材準備開始

なんの会合であれ、ほぼ初対面の人間が違うことで盛り上がっているところに無理やりわり込んで一定時間主導権を掌握して、かつ、お客様を笑顔で写真撮影に集中させる必要があります。

この荒業をやってのけるの唯一の方法が、挨拶です。

筆者が一番使う手口は、単刀直入型ともいうべき方法です。

バカみたいな大声で「どーもー。Kln2吉川でーす。では3列で並んでもらいましょうか。では先生はセンタに来ていただいて、、」

ほかにも方法は考えられますが、筆者は師匠の教えを守って常にこれで行っています。

挨拶しながら、三脚を伸ばしたり、ストロボセッティングしたりして手は休めないように。

全ての作業を通じて、客に指示するだけという状態を避けるためにも、出来るだけ「ながら」を心がけたほうが、印象が柔らかくなります。

Step2:並べる、撮影機材準備終了

    並べ方の一つの目安として、

20人未満は2列。20人以上は3列。50人以上は4列。くらいが妥当じゃないかという感じを持ちます。

現場に、椅子や舞台のようなものがあればうまく利用すればいいですが、もしなければ、前列は胡坐。中段は中腰という例のパターンになりますので、高齢の方は中段に配置しないことや、椅子が一つだけ確保できる場合には、主賓を腰かけさせて変則的な並びを考えるなどの工夫も必要かと思います。

舞台が使える場合は、後列は舞台に立って、中列は舞台に腰かけ、前列は舞台前に立つ、ということになろうかと思います。

    カメラ位置

写真講座などのサイトでよく言われていることですが、カメラ位置は出来れば台などに乗って、全体を見下ろすくらい高い位置にしてください。後列の人が前の人とかぶるのを避けるためです。

ですが、

筆者はそんなに気にしません。対象が3列くらいなら普通に立っても、後列の人とレベルが合う(全体を見下ろす位置)わけですし、仮に4列で最後列が台に乗るといったばあいでも、うまいこと交互に並べればいいことです。

現実に、日光の修学旅行などでは、かなりの高さの台に生徒を並べるので、どうしても下からあおる感じで撮ることになりますが、別にだいじょうぶです。

    会の名称の入った垂れ幕などはなるべく入れ込む。

    ライティングの考え

前提として、少人数の記念写真と違い、お一人お一人の特質に沿ったライティングは無理ですし、それ以前に要求されていないと思って良いでしょう。

では、集合写真を、どういう物として、扱えばよいのでしょう。

下に図示したように集合写真は奥に倒れ込んだ平面と、捉えます。(業界用語で八百屋。青果店の商品台から来ています)

その平面全体にフラットに光を回す考え方になります。


従って、以前語った平面素材を撮る場合と同じ、2灯45度挟みが基本になります。勿論光量のために数を足していくことは何ら問題ではないですし、範囲を稼ぐためにはアンブレラは必携となります。


そうすると、人数にもよりますが、ストロボ位置が相当高い位置だということになってしまいます。

が、その必要はありません。

何故なら、カメラ位置から見て自然な感じに光が回っていればいいからです。多少前後で明るさの違いが出ても、さほど気にしなくてよいからです。勿論顔が見え合ないなんて言うのは論外ですが、、。

絵ではうまく表わせんでしたが、現実的にはカメラレベルより30~50センチ上くらいの位置になります。

ストロボを片側2灯以上使う場合は、なるべく隣接させてください。離すと影の出方が汚くなる場合があります。

    ピントおよび深度そしてファイルサイズ

ピントは中段センターやや前。深度はなるべくパンフォーカスを心がけて、、。当たり前ですね。

筆者の勤務していた写真館では、8×10という巨大シートフィルムカメラが有りました。(45の4倍の面積)

これは、100人以上の集合写真撮影のためだけのカメラです。(筆者は師匠から異常に可愛がられていたので、持ち出しが自由にでき、当時所属していたオフロード走行会で、担いで流し撮りしたりしてました。勿論成立しませんでしたが)

後、フジの69という60ミリ固定レンズのブローニーがありました。これも集合写真用ですね。遠足や修学旅行などに持って行きました。35ミリじゃ不安だということですね。

集合写真にとって重要なのは、全員の顔がはっきり表情まで読み取れるということです。

そのためにファイルサイズは大きめにした方がよいと思います。

Step3:撮影

準備も終わり、お客さんも位置についていよいよ本番です。

ここから細かくなります。異常に具体的になりますので、取捨選択をお願いします。

まず、出来ればレリーズを用意してください。ファインダーを覗きぱなしは良くないです。お客様に顔をさらしましょう。レリーズがなくともシャッターを切るときはファインダーから顔を外してください。

「では、皆さん。おにこやかに」などと言いながらシャッターを、、、、押さないんかい。っというのを一発入れて、和まして下さい。

それから微調整に入ります。前述の一連の行為は微調整の間、飽きさせないためです。

微調整は「そこのご主人。もう少しだけお顔を、お隣の美人さんに向けて。はい。お嬢さんは嫌な顔しない」とか「ぼく、ほら、カメラマンのおじちゃん変な顔だねえ」などと、個人に向けて冗談交えて全体を和ますと、いうことを主眼に置いて下さい。

うまい事笑いが起きたら、そこで一枚。これは予備です。破顔一笑の写真は結果的には使えませんが、おまけに差し上げると喜ばれます。

笑いが収まった瞬間。まだ口許に笑いが残っている。これが狙い目です。うまくはまれば、この瞬間が一番の使いどころです。

「目つぶり」対策に2~3枚撮ってください。

Step4:終了の挨拶 撮影機材撤収

発注担当者との納品の打ち合わせや質問等は、受け付けるとしたらこの時間帯ですが、まだ会は続く訳ですから、もはや邪魔者と化したカメラマンは、礼はわきまえながらも、ものすごい速さで帰ってください。

P.S.自慢ですが、筆者は「集合写真の天才」と、師匠に呼ばれていました。しかし、師匠は筆者の事「贔屓の引き倒し」だったので、真偽のほどは解りかねま~す。

おしまい

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