フォーカルプレーンシャッターと動体歪み

 映画「大脱走」には、「そしてカメラだけど、よく覚ろ、いいか、フォーカルプレーンシャッターの~」というセリフが有ったような気がする。

 機械式シャッターを備えた昨今のデジタル一眼レフカメラのシャッターの形式は皆フォーカルプレーンシャッターだ。そんなに珍しいものでは無い。
これはシャッター幕が2部構成になっていて、すなわち、シャッターボタンを押すと1枚目である先幕が動いてシャッターを開け、その後2枚目の後幕が動いてシャッターを閉じる。

 設定されたシャッター速度がある速度より速い場合、EOS 6Dを例にとると1/180以上の場合、シャッターは完全に開き切ることは無く、先幕に続いてすぐに後幕が動く。このタイミングが早ければ早いほど、先幕と後幕の間隔は狭くなり、結果としてフィルムや画素子に当たる光が少なくなる。これがすなわち表記上のシャッター速度だ。

 この、フィルム上を動くスリットの間隔によって露光時間を調整するというフォーカルプレーンシャッターの機構は、時に思わぬ副作用を生じる。1枚の写真の中にあって露光に時間差が生じる為、動体を撮るとそれはその時間差の影響を受けるのだ。
フィルム上の像が動く方向が、シャッターの動く方向と同じならそれは伸びて写り、逆なら縮んで写る。また、前述の関係が直角なら、トムとジェリー等でよく見る猛スピードの表現の様に歪んでしまう。

 
高速で動く電車の車窓から撮影。
フォーカルプレーンシャッターの動体歪みが見て取れる。

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