例えば、ある日のある時間、車に乗ってある場所から出発し、ある場所にたどり着く。
単にたどり着くだけなら、道さえ知っていれば可能だ。
しかし、都会に住んでいる人なら分かると思うけど、混雑を避けてそうするのには鋭い土地勘が必要だ。
今の時間はあの道にしよう。来てみたら詰まっているからこちらに回ろう。この道は飛び出しが多くて危ない。と言った感覚は非常に高度なもので、頭で覚える理論というよりは、体で覚える職人の感覚に近いかもしれない。実際、タクシードライバーの脳はそうでない人より海馬が大きくなっているという研究結果も有る。
写真撮影にも似た所が有ると思う。
現場で発揮される撮影技術は職人の鋭い感覚のようなもので、鍛えて鋭くもなれば、さぼって衰える事も有る。
最近は露出は元よりピントも露出補正も何もかもオートマティックだ。写真なんてボタンを押せば写ると思っている人もいる。(まあ、当たらずしも遠からずだけれど)
でもそれは、先の例えに当てはめると、車にナビを付けるようなものだ。ナビを付けるとてきめんに道が分からなくなる。ルートは元より、ルートに付随するあの鋭い土地勘が、本当にごっそりと無くなってしまう。
実は写真撮影においても、オートなにがしに頼ると、その技術だけでなくそれに付随する鋭い感覚を失う。露出をオートに頼り切ると、現在の光の強さやコントラストを目で感じ、それがフィルムに与える影響を感じるその感覚が失われてしまう。
フォーカスもそうだ。ピント合わせの技術だけでは無く、それに付随する鋭い感覚が失われる。
オートに頼ると、それ自体の技術に加え、その技術の周辺を構成する体の鋭い感覚が無くなる。(知識は残るけど、感覚は失われる)
なので、写真撮影に関する鋭い感覚を維持するには、マニュアル操作を体で覚え、その技術を維持して行くのが重要だと思う。
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